巣ヲ立ツ

 本務校の卒業式のため、朝から大学へ。前日のような荒天は免れたものの、春分の日とは思えぬ寒い朝
 卒業式には参列せず、式典を終えた卒業生のために、教室で在学生たちと記念品や配付物の手配をする。準備を終え、しばらくすると、はればれとした表情の卒業生たちが続々と教室にやってくる。謝恩会には参加しないゼミ生たちが挨拶にきて、握手を求められる。着任して2度目の卒業式だが、毎年、手を握る瞬間に涙腺が緩んでしまう。
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 夜、例年とおなじ会場で謝恩会がおこなわれる。ゼミ毎の、学生から担当教員への花束贈呈では、ウルっとくるのを我慢するのがやっとの状態。また、学生とはべつの「別れ」もくわわり、瞼は決壊寸前になる。
 散会後、駅に向かう途中、学科の先生方と談笑しつつふと見あげた空には満天の星が。月並ながら、巣立っていく学生たちの未来がこの星たちのようにいつまでも輝いていることを強く願った、日曜日の夜。