和本分析

 本年度の秋学期より担当している国文学基礎演習は、初年次の学生に国文学にかかわる基礎的な知識を身につけてもらうための講義である。そもそもはいわゆる和本リテラシーを養うために用意されたカリキュラムだったということもあり、第2・3週目はグループ単位での和本の分析を組みこんだ。本日がその1回目。
 まずは対象のテクストに関する情報を示さず、タイトルと写本か板本かを見定める。次に、その答えを確認したうえで、観察して気づいたことを書きとめ、グループ毎に発表してもらう。
 ほとんどのグループがタイトルを翻字できたのに対し、板本であることを見分けることができたグループは皆無であった。これはわざと判別しにくいテクストを用意していたので、予想どおりの結果である。また、すでに第1週目で写本と板本、板本の印刷方法などについての簡単な解説をしているので、板本だとわかれば活字か整版かというような推測をするグループもあった。
 こうしたグループワークが初年次の基礎科目に有効であることは前任校で証明済みだったものの、和本の現物を使用するというのがよい効果をもたらしていたように思う。