京都三昧

 昨日はアメフラシの予想を裏切る好天に恵まれるなか、「一日中 水、水のえん」に参加する。京町家の室内は、雨乞いでもしようかというほどの暑さ。そんな枕をふりつつ、最初に取りあげた名所は「神泉苑」で、実にタイムリー。後半は「祇園会」と水、さらに水無月と夏越の祓の意味について、挿絵の読み方を交えながらお話しをする。
 その後、別室でおこなわれた伊藤太先生の「文化的景観としての天橋立」を拝聴する。中世の「王権」と「名所」の関係と、近世初期の「日本三景」成立への流れについて、すこぶる興味深い内容であった。過日に第3の師から課せられた宿題のヒントを得たように思う。大収穫。
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 本日はビストロ・スリージェでクラムチャウダー・豚頭肉のゼリー寄せ・真サバの白ワイン煮・仔羊のローストに舌鼓を打った後、近世京都学会の講演を拝聴する。開物学の難解さに頭を抱えつつ、そこはかとない公家ことばに耳を癒される。
 学会の発起人でもある廣瀬千紗子先生が誘ってくださり、懇親会に参加する。皆川淇園が創設した弘道館跡を買い取られた「老松」の太田達氏もみえ、京都の「凄み」を目の当たりにする。圧巻。
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 懇親会の会場へ向かう際、「こっちが近道」といわれ進む。しばらくすると舗装された道は途切れ、草の生い茂る道なき道を通る。左手にみえるのはかの吉田寮。現役なのだから、凄い。もちろんエアコンなどはなく、開けられた窓には網戸すら入っていない。ある意味で、もっとも京都らしい風景。昭和は案外、遠くない。