お墓参り

 昼前に、家人の祖父母が眠る綾部へと向かう。京都縦貫道が無料化実験コースになってからはじめての墓参で、これまでに比べると格段に行きやすくなった。あいにくの天気のため、墓地には誰もいない。水気をたっぷりとふくんだ松の薫りと、静寂が広がっている。
 2年前の夏、蛙哉兵衛に出会った。墓の隅にちょこんと座る左前肢のない姿をみて連れ帰ったのだ。あのまま自然のなかで生きるのと、プラケースのなかで過ごすのとでは、どちらが幸せだったのかはわからない。ただ、いまも元気に食べ、鳴き、動きまわっている。
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 帰路、和知にある「蕎菜座 延」に立ち寄り、昼膳を食す。

 入店時、ふた組の家族が席についていた。ひと組はちょうど料理が運ばれてきたところで、もうひと組は料理を待っている状態であった。そのうえで「これから蕎麦を打って、料理を出すまでに、30分はかかります」と店の女性に言われる。結局、30分以上は待っただろうか。いわゆるイケナミ系の真骨頂をみた気がする。
 美山で獲れたという野菜の料理が非常に美味い。特に、シシトウとトマトのソテーと、マッカとキュウリの酢の物が絶品であった。肝心の蕎麦はというと、イケナミ系にはあるまじき「盛り」具合で、ヴォリュームはたっぷり。味は可もなく不可もなく、それなりという感じ。