丁々発止

 携帯電話による通話およびメールの送受信が無料だからといってむやみに連絡をしてくる実母は、何故かいつも月曜日の仕事帰りにどうでもいい用件の電話をよこす。
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 今朝のこと。電話でいきなり「あの顔の四角い、四角い眼鏡かけた、あの人」と実母。そういわれてわかる人がいれば教えて欲しい。あまりにも乏しい手がかりに、「他には?」と情報を聞き出す。「あの変わった感じの、薬で捕まって、酔っぱらって死んだ人」といわれ、ようやく中島らものことだと判明する。そのうえで、「あの人のエッセイに出てくることばで、四文字熟語で、ほらあれ。あのことばの意味、教えて」って、そんなもんわかるかいっ。
 数時間後。仕事帰り、玄関のノブに手をかけた瞬間、携帯電話が振動する。出てみると、実母が「あれやけど、チョウチョウハッシやったわ」。すぐにはその意味が理解できなかったが、しばらくして朝の一件だと気づく。「それだけ」と告げ、通話終了。って、それだけかいっ。
 ああ、「白い方式」なんかにさせる/するんじゃなかった。後悔しきり。