栄転祝賀

 研究生のころ修士に入院してきた後輩が、もうすでに三十路になっているのだという。どうりで顔のシワが増え、脳のシワが減るはずだ。その後輩のなかのひとりが、出身地の学校に栄転が決まった。まことにめでたいことである。
 昨夜は後輩の前途を祝しての宴があり、集まった懐かしい顔ぶれについ酒量が増える。それにしてもこうした酒席での某前大臣の人気は凄まじく、誰からともなく「どこだっ」とか、「あんのぉ…、ふぅ〜」とか話題をふる。ふだん酒に呑まれている方々からは、自分を鏡に映したようで恥ずかしくなっちゃった、との意見もあり、笑いを提供するだけでなく反面教師としての役割をも充分に果たしておられるのだと感心する。
 こうして後輩たちがしっかりと地に足をつけて社会に出ていく一方で、なかなかその一歩を踏み出せないでいる現状に、少しばかり焦りを感じた一夜だった。春まだ遠く、道はるかなりけり。