なぞ解き

 先月からはじまった「田中貴子の洛中洛外なぞ解き紀行」。当初はネットで閲覧できず舌打ちをしていた。最近になってアップされているのを見つける。「趣旨は「京都版探偵ナイトスクープ」で」、「もし「これはなぜ?」とか「ここに行ってほしい」といったご要望」があれば聞くとのことなので、くだけた内容に仕立てられている(たぶん)。
 今月は「京はうどん派? そば派?」。過日に訪れた「にこら」が紹介されていた。
 もちろん上方はうどん文化圏(二六のうどん)であり、そこで育ったのだから幼少時はうどん派だった。弟の離乳食を奪って以来、茹でうどんを細かく切り、とじた卵とくたくたになるまで煮たのが好物である。とにかく讃岐系のようにコシのあるものではなく、コシなど微塵もないようなうどんをより好んでいた。
 が、加齢とともに、蕎麦を好むようになる。きっかけは河道屋の「あつもり」だった。師が毎年、連れて行ってくださった「かにかくに祭」。そこで点心として出されていたのが「あつもり」で、薬味におろした辛味大根と刻んだ葱をいれていただく。コシのないなんともいえないもちもちとした蕎麦に魅了された。反して、件の「にこら」は正統派の手打ち蕎麦で、実に旨い。こうした蕎麦は関西ではあまり馴染みがない。ただ、地元にある「団楽」という店の「しらゆき」を知って以来、すっかりはまってしまう。こちらはコシがあるというよりも堅いといった方がよいのだが、断然、のどごしがよい。
 結局、記事でも蕎麦に軍配があがっていた。おおむね、賛同。ただ、池波系なんよな、蕎麦は。そこが気にかかるところ。