難易の度

 講義後、ドイツ出身の学生に質問をうける。ただ、その内容が「神聖ローマ帝国」に関するものだったので、記憶の網をたぐり寄せつつ四苦八苦する。ゼミの発表が当たったらしく、その苦悩と諦念に耳を傾けていた。そして、ふと思い出す。
 先週のことである。留学生の講義では終了時にレポートを課す予定でいるのだが、そのことについて別のドイツ出身の学生から質問があった。ドイツではレポートというといわゆる論文並みの内容と分量を要求されるらしい。よって、年明けに提出するには時間がなさすぎるし、日本語で相当量を書ききる自信もないという。つまり、こちらが想定していたレポートのレヴェルと、ドイツにおけるそれとが一致しなかったのである。
 おそらく今日の質問も、ゼミの指導教授が求めている発表内容と学生の想定とが質的なレヴェルで異なっていることに由来するのではないのか。さらに言えば、同じ大学生であっても要求される学問的知識のレヴェルが国によって相違しているのではないのか。もちろん、どちらが低いかはいわずもがなであろう。大学にもよるのだろうが…。