なるほど

 井原西鶴世間胸算用』の影印本は数種が出版されている。使用されている底本は、国会図書館本(勉誠社)をはじめ、京都府立総合資料館(和泉書院)、大阪府中之島図書館本(桜楓社)などさまざまである。
 先日、某書籍のなかでみた『世間胸算用』の挿絵に興味をもったのだが、そこには読者の落書きと思われる書き込みがあった。その某書籍には国会図書館本の挿絵を使用していると記されていたので、他の影印本で確認してみることにする。が、どの本をみても書き込みのある挿絵はない。はて?
 それもそのはず。本来、底本に書き込みがある場合には「汚れ」とみなされ、その丁だけ別本を借用し原状を再現するようにしている。例えば、勉誠社の影印本ではその挿絵の部分を大阪府中之島図書館本で補完していた。
 そういうこともあるのだなと、あらためて知らされる。