粥の事情

 留学生の講義で五節句の話をする。上巳、端午、七夕あたりは聞き慣れているようだが、残るふたつはわかりにくいらしい。重陽は日付だけを、人日は日付も内容も聞いたことがないという。特に後者は元日との混同があるようだ。
 ひととおりの説明の後、七草粥のことを話していたら、ウクライナ出身の学生から「味付けは?」との質問を受ける。「塩で…」と言いはじめた途端、「えっ!?」という。どうやら、ロシアやウクライナ辺りではさまざまな穀物を粥にして食べるらしいのだが、甘く味付けするのが基本らしい。なるほど。台湾出身の学生はもちろん、日本の粥のイメージに近い。ドイツ出身の学生は粥そのものがわからないという。なるほど。あと、カボチャは果物なんだそうだ。
 粥ひとつとっても調理法は多様で、面白いものだなぁと感じる。教えている方が教えられた。留学生の講義の楽しみのひとつである。