梅ヶ枝餅

 かつて師が大学の近くにあった和菓子店の商品につけた名前は「梅ヶ枝餅」。『ひらがな盛衰記』に因むのだそう。太宰府のものとは異なり、淡い緑色の求肥の中にこしあんと青梅が詰められた可憐な餅菓子だ。

 甲南女子大(神戸市)は29日、所蔵する源氏物語54帖(じょう)の一つ「梅枝巻(うめがえのまき)」の「別本」系統の写本が、鎌倉時代中期のものと確認されたと発表した。梅枝巻としては、東京国立博物館所蔵の写本と同時期で、現存するものでは最古。他の写本にはない表現があり、紫式部が書いた原作を知る手がかりになる可能性もあるという。
 1973年に古書店から購入したもので、縦15.4センチ、横15.6センチ。「斐紙(ひし)」と呼ばれる紙に書かれ、文字を記した「墨付」は65ページあった。米田明美教授(日本文学)が「源氏物語千年紀」を記念した書展を開くため、書庫で保管されていた梅枝巻を確認。田中登・関西大教授(同)に鑑定を依頼し、書体や紙質などから、鎌倉中期の1240〜80年ごろの写本と確認した。


 一方、本文の前ページには、楕円(だえん)形で縦3センチ、横1.9センチの「勝安芳(やすよし)」と記された蔵書印が押されていた。米田教授によると、明治維新の立役者・勝海舟が維新後に名乗った蔵書印と同一という。
 写本は11月4〜7日と10日、甲南女子大の大学図書館で一般公開される。  (毎日jp

 実は、師がつけた「梅ヶ枝」はこちらの方に因んでいると思い込んでいた。「違いますのや」と怒られそうだ。