倫理とは

 社会のなかで生きていく以上、わきまえるべき礼節というものがある。研究の世界でも、もちろんそれは存在する。師がご存命の頃、「マナー違反はいけませんのや」とよく仰っておられたのを思い出す。才能とか研究の質とか、それ以前の問題だ、と。
 少し年長の方がなさった信じられないような行動について耳にする。ご本人にとってはほんの些細なことなのかも知れない。もしかしたら、当然だとも思っておられるかも知れない。ただ、それは間違いなく「マナー違反」である。「人のモノ」が「自分のモノ」でないことがわからないのだとすれば、研究以前の問題だ。自覚がないだけに、「剽窃」よりもタチが悪そう。
 同じ身分の人間として名が連ねられていることは、非常に迷惑である。分野違いなのが、せめてもの救いなのだろうか。