卒業ノ後

 本務校の学生たちは、平均的な大学生よりもはるかに教員と交流する機会が多いように思う。自分が所属する学科の場合、1学年が40人(多くても50人ほど)で構成されている、大学院がないにも関わらず院生用共同研究室なみの施設(自習室・書庫等)が学部生のために開放されている、その共同研究室の前に学科教員の個人研究室が並んでいる、というような環境であるため、自然、教員と学生との距離感も近しいものとなる。
 学生たちは卒業した後も、折をみては研究室を訪ねてくる。そして、在籍していた頃と同じように教員と歓談し、今昔とり混ぜて盛りあがり、笑顔で帰っていく。本務校に着任し、何度もそうした光景をみてきたが、いまだ卒業生を送り出していない身としては、学科の先生方を羨ましく感じていた。
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 昨年末、思いがけず、昨年度に卒業論文を指導していた学生から電話がかかってきた。「覚えてますか」の第一声に、「当たり前だよ」と応える。年賀状を送りたいというので、住所を伝える。正月に届いたそれには、進路のことなどが書かれていた。
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 着任最初の年に指導した学生=第1世代につづき、今春、第2世代が巣立っていく。毎日のように顔をあわせてた学生が卒業してしまうことの寂しさは、いつか再会したときに味わうはずの嬉しさで上書きされるのだろう。きっと。