カンブン

 高校時代、漢文の試験は漢詩を諳んじていなければ解けない問題ばかりが出題され、これに受講ノートの提出(授業中の板書はほとんどなし)をあわせ、総合的に採点された。
 ほぼ全教科が成績不振だった当時の自分にとってはまさに無理ゲーで、よい点数をとるなどハナから諦めていた。唯一、友人たちと「鴻門の会」の寸劇を演じて平常点を稼いだときだけは、好成績を修めることができた。
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 大学院生の頃、師が特殊講義で近世漢詩を講じておられた。内容は「名所図会」に引用された当代文人たちの詩を読むというもので、それまで抱いてた漢詩に対するイメージが大きく変わった。
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 しかし、混沌社についての知識は一般常識を出ない域で、まだまだ不勉強である。幕末期に出版された「名所図会」をみていると、その関係者の漢詩が多く引用されていることがわかる。江戸時代後期における上方地域の人的交流の軌跡をたどるためにも、いろいろと学んでいかねばならない分野である。