収入格差

 どこの世界にも多少の「格差」はある。いま生きている業界もしかり。

「演劇=2憶、音楽=250万というおかしなバランス」
(略)私の今年の音楽活動は2月11日(祝・金)代官山UNITに於けるケラ&ザ・シンセサイザーズのライブから始まる。昨年12月にリリースした新作『Body and Song』の、所謂レコ発ライブというやつだ。
一体『Body and Song』が現時点で何枚売れたのか、私には知らせが入らないから知らないが、おそらくは数百枚というところだろう。頑張って千枚か。
つい先日幕を閉じた、私が脚本と演出を手掛けた舞台『黴菌』は、9500円(『Body and Song』のおよそ4枚分の価格である)の入場料で2万人以上を動員した。つまり、2憶円もの莫大な金が一本の芝居に支払われたということになる。べつに威張ってるわけではないよ。同じ人間が作る作品なのに、演劇には2憶が支払われ、音楽には250万て、バランスおかしいだろう、とグチっているのだ。
まあ確かに、演劇は出演者に惹かれてチケットを買う観客も多い。作家や演出家なんかどうでもいいという人も多かろうさ。だがしかし、舞台を観て面白かったのなら、その面白い芝居の台本を書き、演出をした人間が歌詞を書き、歌を歌っているCDを聴きたいとは思わないのか? どうなんだ。
よく考えたらあまり思わないな。私だって富士そばにそば食いに行ったからといって、富士そばの社長が歌詞を書いたという演歌のCDを買いたいとは決して思わない。
じゃあしょうがないか。だけど、少なくとも、富士そばの社長が歌詞を書いた演歌よりは、『Rooftop』の読者諸君には気に入ってもらえるはず。『Body and Song』は30代〜40代、ともすると50代に差し掛からんとする、かつてのナゴムギャル&ボーイ達へのエールでありながら、来るべき新世代達を鼓舞する為に我々が鳴らす警鐘でもある。
2月11日は富士そば食って代官山へGO。


ケラリーノ・サンドロヴィッチ ロック再入門 」・ 第十四回「演劇と音楽の利益格差」(「Rooftop」2011.01.18より)

 「音楽→小説、エッセイ」というパターンは掃いて捨てるほどいそうだが、「音楽→演劇(脚本)」は稀有な例ではないか。といっても、もとからニソクノワラジだったけど。どっぷりナゴギャ(死語)ではなかったからGOしないが、確かに今年で不惑だ。
 無性に「富士そば」の天ざるが食べたくなった。あ、でも知ってる「富士そば」じゃないやいやい。ちゃいなちゃちゃいな。