懐かしの

 一昨日のこと。
 大学の事務局がならぶ廊下を歩いていると、とある部屋から見覚えのあるご老人が出てこられた。横顔しか見えなかったので声をかけるにもかけられず、数歩後を遅れないようについていく。まるでストーカーのように。
 少し歩いてロビーのところまで行くと、そこにあったソファのひとつに荷物を置かれた。やはり、師(その2)だった。
 お名前をお呼びするとふり返られ、「なんや、講義かぁ」と見事な大阪弁でお答えになる。師(その2)は生粋の津の国の人で、まじりけのないなにわことばを話される。近況をご報告しているときなども、「なんとも、殺生な話しやなぁ」という具合で、10年ほど前にタイムスリップしたような心地になる。と同時に、退職されて随分と経つがいまだ影響力をお持ちなのだと、その健在ぶりを知った火曜日の昼下がり。