ついでに

 「安静」だったらまずは読書に励めよ、と。仕事の資料作りで出しっぱなしだった本を繰ってみる。

江戸参府旅行日記 (東洋文庫 303)

江戸参府旅行日記 (東洋文庫 303)

江戸参府随行記 (東洋文庫)

江戸参府随行記 (東洋文庫)

江戸参府紀行 (東洋文庫 (87))

江戸参府紀行 (東洋文庫 (87))

 非常に重宝しているこの3冊。エンゲルベルト・ケンペルはドイツ出身、カール・ツンベルクはスウェーデン出身、フィリップ・フランツ・フォン・ジーボルトはドイツ出身で、それぞれオランダ商館付きの医師であった。医学だけでなく博物学や植物学などを専門としていた彼らは、理系的好奇心を存分に活かし、遠い異国の地のさまざまな事物について詳細に記している。同じ事物について記述している場合も多くあるのだが、三者三様の捉え方があり面白い。

この日本の首都〔京都〕は頑丈な石垣や城壁で囲まれることもなく、全く無防備で平坦な土地に位置していたからである。  (『江戸参府旅行日記』)

 確かにヨーロッパの都市の様式からみれば、京都は「無防備」にしか映らなかったであろう。しかし、この「無防備」な京都を異国人たちは自由に闊歩できたかというとそうではなく、常に監視され、決められた範囲しか遊山できなかった。ルートも日程も定められていたので、「名所図会」には「遊山するオランダ人一行」が「名所」のひとつとして紹介されていたりもする。